8月29日(土)、第二期AOKI塾の「中間報告会」が長野市で行われました

(2015.09.01)

8月29日(土) 第二期AOKI塾中間報告会が長野市のメルパルク長野で開催されました。 【第一部:記念講演】 塾生のみなさんのご報告を頂く前に、記念講演として、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の月・惑星探査プログラムなどでご活躍中の工学博士山田哲哉准教授にお話しを頂きました。

山田先生は、宇宙から地球に帰ってくるカプセルなどが大気圏に突入するときの熱空気力学などのご専門で、「はやぶさプロジェクト」では、当初からカプセルの開発に携わり、オーストラリアの砂漠では実際に自らの手でカプセルを回収されました。昨年打ち上げられた「はやぶさ2」の他、有人帰還機の研究開発にも従事されていらっしゃいます。 おりしも、今年の8月19日、日本の誇るH-IIBロケットで打ち上げられた「こうのとり5号機」が順調に飛行し、8月24日には、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の長野県出身の油井飛行士がその「こうのとり5号機」をロボットアームでキャプチャし、その後ISSとの結合を完了したことは世界でも話題になりました。これでISSの宇宙飛行士の生命維持に必要な資材を始め、さまざまな重要な補給物資・実験装置が無事に届けられたことになります。 山田先生のお話しは、「はやぶさプロジェクト」の目的、その中で誇る4つの超技術など、日本の宇宙技術の素晴らしさや「はやぶさプロジェクト」で苦労されたことなど盛りだくさんでした。中には涙なくしては聞けないエピソードもたくさんありました。

難しい技術的なことを、わかりやすく解説していただき、驚きの連続でした。そのひとつが、宇宙にいる「はやぶさ1」から切り離されたカプセルが大気圏突入できるようにする技術です。地球と大気の厚さの比率は、ちょうどリンゴとその皮との関係にあたります。そこで、名古屋駅に普通の大きさの一個のリンゴがあるとします。カプセルが大気圏突入するための技術には、東京駅から投げた果物ナイフが、そのリンゴの皮の厚み半分をかすってそぎ落とす(!)ほどの精密さが必要で、それくらい難しいことだということです。すごいですね! ただし、これはとっても危険ですからみなさんは絶対に真似しないでくださいね! 第四期「ながの視察団 平成の咸臨丸」の仲間が山田さんのお話しをきいてこんなイメージ画像をつくってくれました。

山田さんのお話しは、夢がいっぱいでした。日本の宇宙技術の素晴らしさに感動するお話しもたくさんありました。「はやぶさ1号」は、ボロボロになりながらなんとか地球からの電波をキャッチし、姿勢を整え、カプセルを切り離し、無事に大気圏に突入させたのです。そのあとは自分は燃えてなくなります。そんなお話しをきいていると山田さんを始め、JAXAのみなさんは悲しかったのだろうなあ、と心が痛みました。 また、メンバー同士がホンネでディスカッションをし、各人が自分の役割以上のことを自主的にやり、チームメンバーを思いやる心を持つという、類まれなる「チームワーク」が成功の要因のひとつであるとも思いました。 今や日本の宇宙技術は世界に誇れるものになりました。日本の「こうのとり」が1号機からすべて成功しているのは、優秀な技術者がたくさんいるだけでなく、卓越した「チームワーク」にもあると思いました。 宇宙開発技術の貢献により、わたしたちに未知の宇宙への夢をさらに広げてくれるだけでなく、「はやぶさ」のような探査機が活躍してくれる小惑星の研究で、生命の起源、宇宙の起源がわかり、あらためて「生命」のかけがえのない貴重さ、「地球」を守ることの重要性、「平和」な世界であることの大切さをわたくしたちが改めて深く強く感じて、そのために協力しあって行動できるようになることを願っています。 【第二部:第二期AOKI塾塾生による中間報告】 第二期塾生からこの一年間でどんなふうに奨学金を使ったか、という報告をいただきました。みなさん、勉強、スポーツ、ピアノやバレエ、海外渡航などの自己研鑽に、また英語や漢字、各種技術の資格取得に、あるいは将来の職業(プロスポーツ、有機農業の推進など)の目標がありそのための準備費用にと、多種多様多彩に、有効に使っていただいており、とても頼もしく、また嬉しく思いました。

みなさんの奨学金の使い方についてはつぎのPDFをご覧ください。 AOKI.pdf あと1年ですが、さらに充実した毎日になるようエールを送ります!