8月14日(水)
予定通り、船は朝9時半にStockholm Vartahamnen港に着きました。
港ではガイドの智恵子さん(2年前にもお世話になりました)と(株)ビジネスコンサルタントの湊谷さんが出迎えてくださいました。
そしてバスはストックホルム市庁舎へ。1階の「青の間」(実は青くはないんです)は
ノーベル賞の晩餐会が開催されることでも有名です。テレビで見るよりは意外と狭い印象でした。
ここでサプライズ! 今回のストックホルム視察をアレンジしてくださいましたLeif Cervinさんが加わりました。今日から3日間ご一緒です。Leifさんには2年前にもアレンジをしていただき、咸臨丸プロジェクトを深く理解していただいています。とっても素敵なおじ様(みんなにとってはおじいちゃま?)です。
Fryshuset(フリーシュセット)
次にバスが向かったのはFryshuset。ここは若者が自由に集い、自分の興味のあることを追求したり、スポーツで他の学生と触れ合ったり、または公共的なプロジェクトを立ち上げるなど、自らが積極的に活動し、人脈づくりができるような場と施設です。バスケットボールやスケートボードなどのあらゆる余暇活動ができる施設を備え、多様な社会において若者の抱える様々な問題の解決に取り組んでいます。案内してくださったのは、Corneliaさんととっても陽気なRaisaさん。
この施設の目的は4つ。①中学・高校の体育などを中心とした学校活動、②大人のコーチが付く起業・スタートアップ活動、③社会を良くするプロジェクト、④若者文化の醸成、休暇中の有意義な活動です。施設内のジムではボクシング体験もしました。若者がやりたいことを大人が与えている施設です。日本では、あまり見かけない施設ですね。この施設を体験して皆は何を感じたのでしょうか?
ヴァーサ号博物館
次は智恵子さんが、ストックホルムで一番好きだというヴァーサ号博物館。
1628年の処女航海でストックホルム港に沈没した王室の軍艦、ヴァーサ号が展示されています。沈没から333年後の1961年に、奇跡的に極めて良い状態で引き上げられたそうです。その船体の大きさにも圧倒されましたが、素晴らしい彫刻が施されておりとても見応えがあります。当時の国王グスタフ2世の指揮のもと、ポーランドとの戦いに使用する目的で建造し巨大な軍艦として出航したヴァーサ号ですが、一度も戦わずして沈没してしまったのです。でも良い状態で引き上げられて、当時の歴史を知る手がかりにもなっているのですね。またあまりに重すぎて航海前から沈没するのではと思われていたのに、誰一人王様に進言することなく沈没。このこともいろいろな意味で良い教訓になっているのでしょう。またこの失敗をもとに、この後作られた軍艦はポーランドとの戦いに大きく貢献したそうです。館内見学後は、ヴァーサ号の歴史を簡単にまとめたスウェーデン語のビデオ(英語字幕付き)を鑑賞しました。
8月15日(木)
Lena Alfrediusさん講義
今日は、ホテル内の会議室での講義からスタートです。
講師はLena Alfrediusさん。Lenaさんは経営コンサルタント。日本の大企業でも戦略策定、組織変革、組織開発のコンサルテーション、エグゼクティブコーチングをされています。テーマはリーダーシップについて。講義は一方的にお話しされるのではなく、私たちに考えさせる内容であり、質問に対しても真摯に対応してくださいました。結論としては、世の中を良くするためには良いリーダーが必要。良いリーダーになるには自分自身を良く知り、自分に気づくこと。リーダーになろうとするときに、最初にリードするのは自分。もっといい自分になるのはどうしたらいいのか、これは自分自身への永遠の質問であり、回答はないとのことでした。
Oncopeptides
ホテルを出発し向かったのは、製薬会社のOncopeptides。CEOのJacob Lindbergさんが説明してくださいました。Jacobさんの講義は、What is life-scienceからスタートです。Life-scienceの目的とは、健康年齢を伸ばすこと。この会社では特に多発性骨髄腫の研究開発を行っています。さらに世界各地の研究所とのコラボも行っています。最後にJacobさんがおっしゃったのは、スウェーデンはイノベーションを大切にする風土があるということでした。
ランチタイムはマーケットがある中心街です。フリータイムですが、2人ずつのチームに分かれ、英語でのインタビューや、ストックホルムの街を観察するというチャレンジが行われました。プレゼンテーションと審査は今日の夜です。
ランチ後は、玉石敷きの通り、美しい中世の古い街並みが残されている魅力的なエリア“ガムラスタン”へ向かいました。ガムラスタンはアニメ「魔女の宅急便」の舞台とも言われているオールド・タウンです。
オールド・タウンの中心にはノーベル博物館があります。博物館内には、ノーベル賞の提唱者、アルフレッド・ノーベルの生涯やノーベル賞の歴史が展示されていました。当然ここでのお土産は、ノーベル賞チョコレート。実際にノーベル賞の晩餐会に出されているこのチョコレートはここでしか購入できません。でも高かったです・・・。スウェーデンは物価が高いことを実感しました。
夕食後は、きょうのチャレンジのプレゼンテーション。Leifさんの前で英語でのプレゼンテーション。どのチームも素晴らしい内容でした。Wonderful!
8月16日(金)
Ragn-Sells
本日は最後の視察日です。7時30分に出発。かなりタイトなスケジュールの1日です。
まずはRagn-Sellsを訪問し、CSO(チーフ・サスティナビリティ・オフィサー)のPar Larshansさんのお話しを伺いました。Ragn-Sellsは、1881年創業。会社としては1966年に設立され、企業や家庭から出る廃棄物の収集、管理やリサイクルの事業を行っています。Parさんは、世界的に知られているサスティナビリティ経営の実践家です。2018年には国連でも講演を行っておられます。サスティナビリティ経営とは、企業が利益を上げるだけではなく、社会的責任を果たすことで将来においても事業を存続できる可能性を持ち続けるということです。Parさんは、企業の社会的責任を中心にスウェーデンの抱えている問題、リーダーの果たすべき役割、会社の価値観等を詳細に説明してくださいました。
ランチは近くのバーガーショップMax Burgers。Max Burgersは、Parさんが以前働かれた会社です。環境問題にも熱心な同社では、牛肉を使用しないバーガーも作っていて人気商品になっています。お肉ではないバーガー、皆の感想は「美味しかった」。
Max Burgers
さきほどのランチのバーガーチェーンです。ここでは、Kaj Torokさんがお話しをしてくださいました。創業は1968年。現在はスウェーデン、ノルウェー、オランダ、デンマーク、そしてエジプト(フランチャイズ)で展開しているそうです。「サスティナビリティ」(health, fairness, environment)実践を通して、お客様や社会など多くのステークホルダーからの信頼を厚くし、ビジネスを発展させた企業です。その事業活動は、様々な組織からも高く評価されているそうです。
SIWI(ストックホルム・インターナショナル・ウォーター・インスティテュート)
次に向かったのは、SIWI。Max Burgers社とは、同じ敷地内。徒歩で向かいました。
SIWIは1991年に設立され、水の管理や最適な使用、分配、持続的成長の推進につとめ、水資源に関する課題解決のために提案を行う団体です。もともとストックホルムは水に恵まれず、きれいな水ではなかったとのことですが、この団体の活動により水質が改善したとのことです。海外では水道の水は飲まないようにと言われますが、ストックホルムの水道水は安全で、美味しいお水でした。それもこの団体の活動の成果なのでしょう。また主催するワールド・ウォーター・ウィークは1年に1回開催される、グローバルな水資源問題の世界会議の場です。スウェーデン国王が主催する賞もあり、この賞は水のノーベル賞とも言われているそうです。今年も8月25日から8月30に開催されるそうですが、そんなお忙しい中お話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
水問題は、①水が多すぎる(洪水等で)こと、②水が少なすぎる(干ばつ等)こと、③水が汚いことの3点です。また消費者としては、商品をつくるのに水がどのぐらい使用されているのかを理解したほうがいいということです。例えばバーガー1個で2,400リットル、携帯にいたっては13,000リットルだそうです。そんなに使用されていることを教えていただくと、水を大切に使用しなくてはいけないと思いますね。
今日はストックホルムでの最後のディナー。Leifさんともお別れです。Leifさんのおかげで有意義な時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました。
何とLeifさんは忘れていたそうですが、今日は誕生日でした。
Leif、Happy Birthday!
8月17日(土)、8月18日(日)
長いようで、終わってしまえば短かった6日間の北欧研修。
皆の心には何が一番残ったでしょうか?
この経験を今後にぜひ活かしていきましょう。
そして16日(日)9時5分、全員元気で成田空港に到着しました。
それにしても日本は暑い!