サンフランシスコ(8月4日)

(2015.08.21)

HP Garage ヒューレット・パッカード社(HP)といえば、世界のパソコン業界をリードしてきたグローバルカンパニーである。その発祥は、ここカリフォルニア州のパロアルトにある小さなガレージ。1934年にスタンフォード大学を卒業したビル・ヒューレットとデイブ・パッカードが、1939年にここで会社を設立。HPの最初の製品であるオーディオ発信機をこのガレージで開発したことから始まる。1987年にはカリフォルニア州の歴史的建造物となり、いまでは「シリコンバレー発祥の地」として多くのひとびとが訪れている。

Japanese American Museum of San Jose 日系アメリカ人の歴史は、約150年前にさかのぼると言われている。その歴史を学ぶことができるミュージアムはアメリカ国内にいくつかある。今回はここサンノゼにあるミュージアムを訪問し展示から学ぶとともに、90歳代のMr. & Mrs. Yamaichiさんから、太平洋戦争前後のお話しをきいた。アメリカ本土の日系アメリカ人は、1942年~1946年まで10か所にある強制収容所に収容された。それまで蓄えてきた財産も土地もすべて没収された。戦後、開放されてからしばらくは、土地を借りることもできなかった。「生き延びる」にはあまりにも厳しい環境だった。しかし、いまでは多くの二世、三世の方々が農業を中心とした様々な分野で重要な役割を果たしていらっしゃるという。

Computer History Museum 世界で一番大きなコンピューター歴史博物館。「電子計算機」から現代のコンピューターに至歴史を学ぶことができ、Crayのコンピューターなども展示されている。しかし、われわれ日本人にとっては、入ってすぐに「ソロバン」が展示されていたのには感激。確かに、ソロバンは「計算機」である! Facebook 特別に許可をもらって社内を案内してもらう。会社全体が「街」になっていて、通り道の両側にはいつでも自由に入れるカフェやレストラン、リラックスできるゲームセンター(ゲーム機は日本製)や卓球台など、「集中」と「リラックス」のバランスを取りながら仕事ができるようにデザインされていた。

平さんのご自宅にて、平さんのプレゼンテーションに続き、Samba Murthy氏のプレゼンテーション。
Murthyさんは、投資家でもありデータセキュリティの会社の創業者でもある。その経験から、IT 技術やITの歴史、そして「革新」について話してくださった 。 最新のIT製品としては、シリコンバレーのナイトコープ社が開発し、地域や学校、企業での導入が期待されている警備ロボット。すでにマイクロソフトのシリコンバレーキャンパスで導入され注目されている。また同じくシリコンバレーのベンチャー企業、電気自動車を開発したTesla Motors社などについても学んだ。 平さんのご自宅があるWoodsideの山の上には、Net ScapeやTesla Motors社など、 シリコンバレーのエポックメーキングな会社が生まれるきっかけとなった「Café」があるとのこと。世界のIT技術をリードする地域のど真ん中にいたのだ。 そして「革新」とはどのようにして起こるか。Murthyさんの結論は、「音楽制作と似ている」という。音楽は「時間、テンポ、リズム」の三拍子が揃って素晴らしいものになる。「革新」も、「時間、テンポ、リズム」のハーモニーをつくるかのように、世の中の困っていることを、世の中の波に乗って生み出していくものだ、ということ。 単純明快である、ということはきっと、複雑な要素を含む「革新」のエッセンスを言い当てているのだと思う。しかし、そのことを「ガッテン!」するには、世の中のこと、技術革新のことなど、もっともっと学ばなければいけないことがたくさんあると痛感した。 世界をリードするベンチャー企業が続々と生まれた「シリコンバレー」の「空気」を肌で感じた一日だった。
終了後、Mrs. Tairaのお手製の大御馳走をいただきました。 今回のSan Franciscoでの視察は、大変充実していました。これも平さんの幅広い人脈のおかげです。そして、平さんの咸臨丸の研修生への熱意と期待のおかげです。平さん、本当にありがとうございました! そして平さんの奥様の由子さん、いつも心のこもったお料理(4日前から仕込んでいただいたのです!)と楽しい会話、ありがとうございます。ハードなアメリカ視察研修の疲れが吹っ飛ぶほどの暖かいおもてなしに心より感謝いたします。