San Francisco編(1)

(2015.08.20)

8月3日(月) ホテルを8時半出発。一路Stanford大学へ。そこで待っていてくださった平強さん。

平さんは長年Californiaにお住まいで、起業家・投資家を含む経済分野、大学などの教育分野、日本人コミュニティ、さらには、インド人の起業家とも交流が深く、幅広く活躍・貢献されています。第三期に続き、今回もSan Franciscoでの訪問先をすべてアレンジしていただきました。


最初の訪問はStanford University。ここでは、日本からの留学生の方にお会いしました。留学の目的、自分の研究分野、大学の歴史についてお話を伺いながら校内の案内をして頂きました。

11時からは、US-Asia Technology Management Center の所長であるDasher教授より講義を受ける。Dasher教授は先端技術の事業化やそのビジネスモデルなどの研究と実践で、アメリカだけでなく、アジアの主要経済圏をとらえた技術経営の研究と実践で活躍されており、日本にも幾度となく招聘されている。

講義は流ちょうな日本語!実は日本の文科省の仕事で数年日本に滞在され、東北大学の理事も務められた。

内容は「Silicon Valley, Entrepreneurship, and Stanford University」について。 斬新なアイディア、それを実行する人間、運営する資金の3つの要素が相まって革新的なビジネスにつながる。その運営母体が誕生してから、成熟して収益の上がる大きなビジネスになっていくと最後は①大手企業に売却する ②投資家によりマーケットに出る というふたつの道に分かれる。このようなプロセスの中でStanford大学は、卓越した斬新なアイディアの提供、起業し素早く成長させていくだけの優秀な人材の提供、そして教授陣のメンターとしての役割という重要な機能を果たしてきた、ということを学んだ。

Salinasといえば、アメリカでも有数の大農場がある地域。今回は二つを訪問した。 最初は、Matsui Nursery(松井農園)。「あなたの家に欄があれば、それはカリフォルニアのサリナスにあるMatsui農園の蘭」といわれるほど蘭の栽培では有名。最初は菊の栽培から始める。菊の需用が将来落ちていく、ということをみこし、蘭の栽培を始める。試行錯誤の末、苗床を輸入して松井農園で大きくする。出荷まで4年かかる。商品として出荷するまでに4年も手間をかける難しい農園経営には、実はさまざまな「秘訣」が生み出されてきた。成功の一番の要因は松井さんの「愛でてじっくり育てる」というお人柄が生かされているのでは、と感じた。

松井さんのお人柄を感じさせるもうひとつのエピソードがある。「自分が成功できたことは、ひとえにこのサリナスの街とそこで働いている大勢のメキシコからの移民の方たちのおかげだ」と感謝している松井さんは、サリナスの貧しい家の高校生数十名に、毎年大学の学費を送っていた。しかし大学を卒業する人が少ないので、「Computer Science」の学位が3年間で取れるように地元の大学と相談し、新しく$2.9 million (約3億5千万円)の奨学金を提供した。このプロプログラムは順調に進み、今ではそこにいる学生はみんな頑張っているとのこと。

つぎの訪問は、45,000エーカー(?)という想像を絶する「広大」な農地で、無農薬有機農業でレタスを中心とした野菜を栽培しているゲーリー谷村さん。谷村さんは三世で、ルーツは1920年代に祖父が家族とともにカリフォルニアに来たことから始まる。今では、毎日、何十台もの巨大タンカートラックに積まれた野菜が、アメリカ中に新鮮な野菜を配達している。谷村さんが経営するTanimura & Antle社は、農業分野の技術革新と研究において幅広く貢献し高い評価を受けている。そしてひとと自然にやさしい有機農業をすすめることに興味ある農家への教育的支援も積極的に行い、「農業革新」に貢献していることも高く評価されている。経営者であるとともに、さまざまな機関で必要とされている谷村さんから直接お話しを伺うという、本当に貴重な経験をさせていただいた。

ご親戚のフランさんも来てくださり、オフィスや、トラックのドライバーさんたちの休憩のためにつくったカフェに案内してくださいました。 サリナスといえば、ジョン・スタインベックの生まれた土地。「怒りの葡萄」「エデンの東」などの著書を読んでいた研修生は、ミュージアムの訪問を楽しみにしていたが、残念ながら閉館となっていた。せめて写真を!!