第7期「ながの視察団 AOKI咸臨丸」夏期国内視察研修が行われました。 (3日目・4日目:つくば・東京・横浜・京都)

(2022.09.18)

今回の夏期研修のテーマは、「未来・過去・そして現在を学ぶ」です。
8月1日、2日は主に未来について学びました。

 

8月1日(月)

【宇宙飛行士・毛利衛さんご講演】

午前中は宇宙飛行士・毛利衛さんのご講話です。
講演場所もJAXAがあるつくばです。テーマは「宇宙からの視点~ユニバソロジ~」。

最初に、毛利さんはCREWひとりひとりに、このプロジェクトに応募した動機を尋ねられました。
CREWの回答を、
1.自分が成長したい 
2.世の中の問題解決をしたい 
というふたつに大きくまとめられ、
「今日はこの目標達成のために何かお役に立てると思うよ」とおっしゃって始められました。

この時点で、宇宙飛行士毛利衛さんという偉大な方が、
CREW一人ひとりにとって身近な存在となり
打ち解けた気持ちでお話しを聞くことができたようです。

 

地球環境が生命の持続性を維持させる、日本人の思いやりはわたしたちには普通のことであっても
宇宙チームのコマンダーには必須の強みである、など
これからリーダーになるCREWにとって大事なことを学びました。

 

ご講演後の質疑応答でも、一人ひとりの問いに丁寧に応えていただき、
さらにお話しが深く展開されていきました。

宇宙のこと、地球のこと、それらに人間としてどう向き合うのか
ということに関して、多くの視点で考えることができた楽しく有意義な時間でした。

毛利さん、ありがとうございました。

毛利さんを囲んで(写真撮影の際のみマスクを外しています)

 

【日本科学未来館】
午後は東京に戻り、毛利さんが初代館長を務められ現在は名誉館長の「日本科学未来館」を訪れました。
未来館は、まさにわたくしたちの未来をつくりだすミュージアムです。

「常設展」のほか、「特別展:きみとロボット~ニンゲンッテナンダ~」が開催されていました。
この特別展では、国内展覧会史上最大規模となる、約90種130点のロボットが大集結!

対話をしながらアクションや学んでいく小型ロボットもたくさん展示されていて、
時間のたつのを忘れてしまいました。
課題図書で読んだ「クララとお日さま」を思い出しながら展示を楽しみました

また全天周の立体視映像で科学や宇宙を体験できる「ドームシアター」にも行きました。
上映中の作品から、CREWが選んだのは「9次元から来た男」。
不思議な世界を体験することができました。

 

8月2日(火)

【富士通テクノロジーホール】

午前中は富士通テクノロジーホールを訪問。
1935年、通信機器メーカーとして誕生してからの富士通の歴史を通し、
技術革新と私たちの生活の在り方を考える機会となりました。

初期のダイヤル式電話機を知らない世代にとって、
富士形電話機は驚きだったようです。

電話交換機の技術を利用して開発された日本初のリレー式計算機から、
スーパーコンピューター「京」までの「計算機」の歴史も学びました。

 

「Future Zone」では、キャッシュレス決済の最新技術「手のひら静脈認証」も体験しました。

見学の後は新横浜駅へ。
これから東海道新幹線に乗って、京都に向かいます。

 

【妙心寺退蔵院副住職の松山大耕さん法話】

京都駅着後、バスにて右京区にある妙心寺退蔵院に向かいました。
退蔵院は臨済宗妙心寺派の寺院。古い歴史のある寺院です。

今日はそこの副住職松山大耕さんの法話と座禅の経験です。
まずは15分の座禅。
初めての体験にもかかわらず、多くのCREWが「5分くらいに感じた」というほど、集中することができました。

その後、松山副住職の法話と問答。

「人前で話すとき、どうしても緊張してしまう。どうしたら緊張しなくなるか」という問いには
「”緊張している“という自分の心に気づき素直になろう」。

「テストなどで周りと比べてしまう。どうすればよいか?」という問いには
「やりきった!という気持ちが持てればよい。自分には嘘はつけないよね」。

「気づく能力を身につけたいが一気には身につかないと思う、すぐにできることはないか?」という問いには
「ある和尚さんが水漏れするので、”おい、誰か“と呼んだ。
すぐに来た小僧さんは思わず、ざるを持ってきた。
つぎに来た小僧さんは鍋をもってきた。和尚さんはあとで来た小僧さんを叱った。
なぜだろう?それは、必要としているひとのところにすぐに行くことが大事だから。
必要だと思ったらすぐに動け、ということ」など。

時間はあっと言う間に過ぎてしまいました。
もっともっと松山さんには、いろいろお聞きしたかったです。


松山副住職を囲んで(集合写真撮影のみマスクを外しております)

 

【京都精華大学前学長のウスビ・サコさん講義】

ウスビ・サコさんは、アフリカのマリ共和国出身の教育者。
2018年4月より2022年3月まで京都精華大学の学長を務められました。

アフリカ系として初めて、日本の大学の学長となられた方です。
咸臨丸での英語の先生Hanyさんの前任者Danteさんと同じ国の出身です。

今回はDanteさんの仲介で実現しました。
サコさんは翌日の朝のテレビ番組出演のため最終の新幹線で東京へ行かれる直前のお忙しい中、
お時間をつくってくださいました。

場所は京都タワーホテルの会議室。

30年以上にわたる日本滞在の経験から、
「異文化コミュニケーションの重要性」について具体的にお話しいただきました。

サコさんからのお話しのポイントです。
グローバル時代は多様性が大事になる。
たとえば、High context(※1)の文化を持つ日本人と
Low context(※2)の文化を持つ欧米の人は、その違いを知っておかないと
相互理解は難しい、自分と異なる他者を通して自分自身を再発見することもできる、
違いが存在することをまずは認識することが大事。

アフリカには“早く行きたければひとりで進め、遠くに行きたければみんなで進め”ということばがある。
自分の常識はあなたの常識ではない、だからお互いに歩み寄ることが大事、そのためには会話をすること。

会話をし、今この場でしか生まれないコミュニケーションをつくることが大事。
また自分のVoiceを持つこと、サコが言ったからと鵜呑みにしない。

サコさん、お忙しい中本当にありがとうございました!

※1:ハイコンテクストーコミュニケーションや意思疎通を図るときに、
前提となる文脈(言語や価値観、考え方など)が非常に近い状態のこと。
民族性、経済力、文化度などが近い人が集まっている状態。

※2:ローコンテクストーコミュニケーションや意思疎通を図る際に
前提となる文脈や価値観が少なく、より言語に依存してコミュニケーションが行われること。
言語で表現された内容が高い価値を有する傾向にあり、思考力や表現力、
論理的な説明能力やディベート力といったコミュニケーションに関する能力が重視される。

 

ウスビ・サコさんを囲んで(集合写真のみマスクを外しております)

明日から「過去」を学ぶため、これから奈良に移動します。